領収書はスマホで撮ったら原本を捨てていいのか
スキャナ保存の要件を満たせば、紙の領収書はその場で捨てられます。満たすべき4つの条件と、撮ってから廃棄するまでの手順を、国税庁の一問一答にあたって整理しました。
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捨てられます。ただし条件があります。
「スキャナ保存」の要件を満たして保存した場合に限り、紙の原本はその場で廃棄できます。逆に言うと、要件を満たさないまま撮って捨てると、紙も電子も残っていない状態になります。ここが一番危ないところです。
根拠は国税庁の「電子帳簿保存法一問一答【スキャナ保存関係】令和7年6月」に置いています。
その前に、あなたに義務があるのはどちらか#
まず整理させてください。電子帳簿保存法には3つの区分があり、義務なのはそのうち1つだけです。
| 区分 | 内容 | 義務か |
|---|---|---|
| 電子帳簿等保存 | 自分が電子で作った帳簿・書類をそのまま電子保存する | 任意 |
| スキャナ保存 | 紙で受け取った書類を読み取って電子保存する | 任意 |
| 電子取引データ保存 | メールやWebで受け取ったデータを電子のまま保存する | 義務 |
紙で受け取った領収書は、紙のまま保存し続けても何の問題もありません。スキャナ保存は「紙を捨てたいなら、この要件を満たしてください」という選択肢です。
よく混同されますが、義務なのは「電子取引データ保存」のほうです。メールに添付されて届いた請求書PDFや、Webサイトからダウンロードした領収書は、印刷して紙で保存することが認められません。紙で受け取った領収書とは、まったく別の話です。
原本を捨てられるのは、いつか#
以前は「定期検査が終わるまで紙を保管する」という運用が必要でした。これは令和4年1月1日以後の保存分から不要になっています。
現在は、読み取った内容と紙を見比べて同じであることを確認できたら、その時点で廃棄できます。国税庁の一問一答では「最低限の同等確認」と呼ばれていて、確認する内容は2つです。
- 電磁的記録と書面の記載事項を比較して、同等であること
- 折れ曲がりなどによって、読み取れていない部分がないこと
ひとつ例外があります。後述する入力期限を過ぎてしまった書類は、電子データとは別に紙のまま保存し続ける必要があります。撮り忘れて2か月経った領収書は、もう捨てられません。
満たすべき要件は4つ#
1. 期限内に読み取る#
読み取りには期限があります。どちらの方式を採るかで日数が変わります。
- 速やかに入力する方式 — 受領後、おおむね7営業日以内
- 業務サイクル後に速やかに入力する方式 — 受領から最長2か月と、おおむね7営業日以内
後者を採れば、月末にまとめて処理する運用でも間に合います。個人事業主なら、月に一度の経理作業のタイミングで読み取る形が現実的でしょう。
同 問21〜23出典(外部サイト)2. 画質を満たす#
- 解像度 25.4ミリメートルあたり200ドット(200dpi)以上
- カラー画像(赤・緑・青がそれぞれ256階調以上)
令和6年1月1日以後の保存分からは、解像度や階調の「情報を保存しておく」要件が廃止されました。ただし読み取り時にこの品質を満たすこと自体は、いまも必要です。
スマートフォンで足りるのか、計算してみます。A4サイズは210×297ミリです。
横: 210 ÷ 25.4 × 200 ≒ 1,654 px
縦: 297 ÷ 25.4 × 200 ≒ 2,339 px
必要な画素数: 1,654 × 2,339 ≒ 387万画素
いまのスマートフォンのカメラは1,200万画素前後が標準なので、数字の上では大きく上回ります。
ただし注意点があります。これは書類が画面いっぱいに写っている場合の話です。机に置いた領収書を離れた位置から撮ると、実際に書類が占める画素は一部だけになり、実効的な解像度は下がります。書類が画面に収まる範囲で、できるだけ寄って撮ってください。
同 問10・問27出典(外部サイト)3. タイムスタンプ、またはその代わりを用意する#
要件のなかで、いちばん判断が要るところです。
原則は、総務大臣が認定した時刻認証業務によるタイムスタンプを付けることです。ただし代わりの方法が認められています。
訂正または削除の履歴が残る、あるいは訂正・削除ができないシステムに、入力期間内に保存する
つまり「誰がいつ何を変えたか」が記録として残るシステムを使えば、タイムスタンプを個別に付ける必要がなくなります。
ここで条件がひとつ付きます。一問一答では、この方式には客観的な時刻証明機能が必要であるとされ、自社で構築したシステムは原則として認められず、クラウドサービスなど第三者が提供するものであることが求められています。
同 問28〜32出典(外部サイト)使うサービスを選ぶときは、「履歴が残ります」という説明だけで判断せず、この要件を満たす形になっているかを提供元に確認してください。
4. 検索できるようにする#
次の3項目で検索できる状態にしておきます。
- 取引等の年月日
- 取引金額
- 取引先
税務調査でデータのダウンロードを求められたときに応じられるのであれば、日付や金額の範囲指定、複数項目の組み合わせ検索までは求められません。
また、契約書や領収書といった重要書類については、帳簿との相互関連性を確保しておく必要があります。令和5年度の改正で、この要件の対象は重要書類に限定されました。
同 問41〜46出典(外部サイト)撮ってから捨てるまでの手順#
手順
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受け取った日を確認する。 期限の起算点です。財布に入れっぱなしだった領収書は、まずここを確かめてください。
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明るい場所で、正面から、書類が画面いっぱいになるように撮る。 斜めから撮ると端が歪み、金額の桁を読み違える原因になります。
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読み取られた内容と、手元の紙を見比べる。 発行元・発行日・金額の3つは必ず確認してください。折れ曲がりで欠けている箇所がないかも見ます。
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要件を満たすシステムに保存する。 入力期限内であることが前提です。
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同等確認が済んだら、紙を廃棄する。 ここまで来れば、その場で捨てて構いません。
BizCollect ではどうなるか#
BizCollect は、上の手順のうち2から4を1画面のなかで済ませられるように作ってあります。
領収書を撮影またはアップロードすると、発行元・発行日・支払期日・金額・消費税率・適格請求書発行事業者登録番号を読み取ります。読み取った内容は保存前に画面で確認して、その場で直せます — 手順3の同等確認が、そのまま画面上の作業になります。かすれや手書きでうまく読めなかった項目も、入力すればそのまま登録できます。
保存後は、取引先・期間・金額の範囲で絞り込めます。訂正したときも削除したときも、いつ・誰が・何をどう変えたのかを記録として残し、削除しても原本のファイル自体は残ります。
ただし、お使いの運用がスキャナ保存の要件を満たしているかどうかは、サービスの機能だけで決まるものではありません。入力期限を守れているか、帳簿との相互関連性が確保できているかは、事業者ごとの運用によります。判断に迷う場合は、顧問税理士に確認してください。
まず、1枚から#
手元にある領収書を1枚取り出して、受け取った日を確認してみてください。
7営業日以内なら、そのまま読み取って捨てられます。2か月を過ぎているなら、その1枚は紙のまま保存するしかありません。期限だけは、あとから取り返せない要件です。