請求書PDFをメールで受け取ったときの保存方法
メールに添付された請求書PDFは、印刷して綴じるだけでは電子帳簿保存法の要件を満たしません。データのまま保存するために満たすべき3つの条件と、費用をかけずに対応する手順を、国税庁の資料にあたって整理しました。
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メールに添付された請求書PDFは、PDFのまま保存します。印刷して紙で綴じるだけでは要件を満たしません。満たすべき条件は3つで、そのうち検索の条件は、基準期間の売上高が5,000万円以下なら外れます。
印刷して保存、では足りない#
取引情報を電子データでやり取りすれば、それは電子帳簿保存法でいう「電子取引」にあたります。メールに添付された請求書PDFも、取引先のサイトからダウンロードした領収書も同じ扱いです。
電子取引をしたときは、そのデータを保存する義務があります。紙に出力したものだけを残す扱いは令和3年度の改正で廃止され、令和5年12月末までの宥恕期間も終わりました。現在、PDFを印刷してファイルに綴じ、元のメールを削除する運用は、要件を満たしていません。
紙で届いた請求書はこれまでどおり紙で保管して構いません。義務の対象は、データで受け取ったものだけです。
国税庁 電子帳簿等保存制度特設サイト「電子取引関係」出典(外部サイト)満たすべき要件は3つ#
国税庁のリーフレットは、要件を「改ざん防止措置」「ディスプレイ・プリンタ等の備付け」「検索機能」の3つに整理しています。順に見ていきます。
1. 改ざん防止の措置をとる#
次の4つのうち、どれか1つを満たせば足ります。
- タイムスタンプが付与されたデータを受け取る
- 受け取ったデータに自分でタイムスタンプを付ける
- 訂正・削除の履歴が残るシステムで授受・保存する
- 改ざん防止のための事務処理規程を定めて運用する
費用をかけずに済ませるなら4つめです。国税庁が、法人向けと個人事業者向けの事務処理規程のサンプルをWordファイルで配布しています。ダウンロードして事業者名と日付を入れ、印刷して手元に置けば、措置をとったことになります。届出や承認の手続きはありません。
国税庁 参考資料(各種規程等のサンプル)出典(外部サイト)2. ディスプレイとプリンタを備え付ける#
保存したデータを画面で確認でき、求められたときに整然とした形式で印刷できる状態にしておくという要件です。ふだん使っているパソコンとプリンタがあれば、新しく何かを買う必要はありません。
3. 検索できるようにする#
原則として、次の3つを満たします。
- 取引年月日その他の日付、取引金額、取引先の3項目で検索できる
- 日付または金額は、範囲を指定して検索できる
- 2つ以上の項目を組み合わせて検索できる
専用ソフトがなくても対応できます。国税庁の一問一答は、ファイル名に規則性をもたせる方法と、表計算ソフトで索引簿を作る方法を挙げています。
基準期間(2年(期)前)の売上高が5,000万円以下なら、検索機能の要件そのものが不要になります。条件は、税務調査でデータのダウンロードを求められたときに応じられること。売上高で判定するので、事業を始めて2年目までの方もここに含まれます。
今日から始める手順#
手順
1. 保存場所を1か所に決める
パソコンの「2026年_電子取引」といったフォルダでも、クラウドストレージでも構いません。分散させないことだけが条件です。
2. ファイル名を「日付_取引先_金額」で揃える
20260917_カワサキ商店_110000.pdf の形。これだけで、OSの検索窓から日付・取引先・金額のどれでも引けるようになります。金額はカンマを入れず、円単位で書きます。
3. 事務処理規程を用意する
国税庁のサンプルをダウンロードし、事業者名を入れて印刷します。作業は10分ほど。これで改ざん防止の措置を満たします。
4. 本文に取引情報があるメールは、メールごと残す
金額や取引条件が添付ファイルではなく本文に書かれている場合、保存の対象はそのメール本体です。PDF化するか、メールソフトのフォルダに分けて保管します。
間に合わないときの猶予措置#
令和6年1月以降、要件どおりに保存できないことについて所轄の税務署長が相当の理由があると認める場合は、保存要件を満たしていなくてもデータの保存が認められます。国税庁のリーフレットは、相当の理由の例として人手不足やシステム整備の資金不足を挙げています。
この措置を受けるための事前申請はありません。ただし、税務調査の際にデータのダウンロードの求めに応じられること、そして出力した書面を提示・提出できることが条件になります。
猶予措置は、データを捨てて紙だけ残してよい制度ではありません。データの保存そのものは引き続き必要です。印刷した紙は、あくまでデータに加えて求められるものと考えてください。
電子帳簿保存法のうち個人事業主が最低限やるべきことは、電子帳簿保存法、個人事業主は何をすれば足りるかにまとめています。紙で受け取った領収書をスキャンして原本を捨てたい場合は、別の制度(スキャナ保存)の話になるので、領収書はスマホで撮ったら原本を捨てていいのかを参照してください。
BizCollect の場合#
BizCollect は、受け取った請求書・領収書をアップロードすると、発行元・発行日・支払期日・金額・消費税率・適格請求書発行事業者の登録番号・振込先を読み取ります。PDFにそのまま対応していて、複数ファイルの一括登録もできます。読み取り結果は保存前に画面で直せます。
保存した証憑の一覧は、キーワード・期間・金額で絞り込めます。ファイル名を手で揃えなくても、日付・金額・取引先で引ける状態になります。
訂正や削除をした履歴は記録として残ります。電子帳簿保存法が求める「訂正又は削除の事実及び内容を確認することができること」に対応する仕組みです。削除しても、アップロードした原本ファイルは残ります。
事業所のデータは、CSVと原本のZIPで管理者がいつでも書き出せます。あとで別のやり方に移ることになっても、手元にデータが残ります。
まずは、今週メールで届いた請求書PDFを1か所のフォルダに移すところから。名前の付け方と事務処理規程は、そのあとで足せます。